これまで農業は、ITとは無縁の一次産業と考えられてきました。
農業従事者の高齢化、ノウハウの継承に加えて、生産性向上や病気対策による利益の最大化などの観点で、ITを活用して精密化を行っていこうという機運が高まっています。
ITを活用した農業にとって、IoTは重要な役割を果たします。例えば、
などが有効です。
センサを活用してモニタリングするとわかることですが、1つの圃場の中でも、温度が高い場所や低い場所、日当たりの良い場所とそうでない場所、肥料が足りている場所とそうでない場所など、圃場内でのばらつきが多いことが一般的です。
また、異なる場所の圃場では、まったく違う生育環境や生育状況となります。
上の写真は、実際の農作物の畑において、圃場のIoTの実証実験を行った際に、遠赤外線サーモグラフィを使用して、温度分布を定点観測で撮影した一例になります。
これを見てわかりますように、畑の中でも、温度の高い場所と低い場所が存在しています。つまり、圃場内の農作物の生育環境は、同一であるわけではないということが言えます。また、得られた温度は、葉の表面温度ですので、植物の生育状態、光合成の活性度が、場所によって異なるということになります。
つまり、ローカルでの最適化、その土地、場所に沿った地産地消のためのIoT活用が、農業に従事する人にとって非常に意味のあることになります。
この写真では、遠赤外線サーモグラフィを活用しましたが、サーモグラフィでは、撮影する位置によって結果が変わってくるため、真上から撮影しないと正確な情報は得られません。
また、得られる情報は温度だけですので、圃場や植物をモニタリングする際に、土壌センサ、環境センサ、日照センサ、風向風速センサなどを圃場内のいたるところに設置して、モニタリングすることで、有益な情報を取得することが推奨されます。
これらの情報を組み合わせて、面での環境モニタリングを行い、精密農業を実施することは、生産性向上や病気対策にとって重要であるとともに、データがたまってくると、ある圃場で取得したノウハウを別の圃場へ展開するなど、農業の生産性が大幅に向上できる可能性がでてきます。